Lv1基礎-29 特殊規則12 ะを補って読むもの
あなたは今ここにいます!
青色個所=へえ、そうなんだ程度に飲み込めるもの
黄色個所=日本語にはない概念で覚えるのに注意が必要なもの
赤色個所=理論的に煩雑になり、覚えることが多く、タイ語学習において踏ん張りどころとなるもの
タイ語の特殊規則 ะを補って読むもの
いよいよ終盤ですね。残すところ特殊規則もあと2つになりました。
以前特殊規則でโ-ะが消えている、というものがありましたね。
実はもう一つ消えているものがあります。
それがะです。
見えていないが存在する短母音ะ
以下の表に例を挙げます。赤文字の対比に注目してください。
タイ語 | 音素記号 | 意味 |
กรรมการ | kammákaan | 審判 |
ขนม | khànǒm | お菓子 |
ถนน | thànǒn | 道 |
เบณจางคประดิษฐ์ | benjaaŋkhápràdìt | 五体投地の礼拝 |
これらの例では、赤文字の子音に母音がついていませんが
母音のะが隠れています。
ここでは、赤文字にะが補われていることに注目してください。声調符号がいろいろついていますが
これは最後にまとめて説明します。
(声調規則のページ)
このように母音なしで子音が連続する場合にはะが補われることがあります。
今まで特殊規則の説明で例に挙げた単語でも
なぜこのような音素表記になるのか?理解できなかったものがいっぱいあったと思います。
それはこのะを補うケースがほとんどです。
タイ語 | 音素 | 意味 | 出てきたページ |
สรรพสิ่ง | sàpphásìŋ | 全部(文語) | รรロー・ハン |
สุวรรณภูมิ | sùwannàphum | スワンナプーム | ิ の無音化 |
พฤหัสบดี | phárʉ́ hàtsàbòtdii | 木曜 | ฤ rɔɔ・rʉ́ |
ศุลกากล | sǔnlákaakon | 税関 | 語尾のรは-อนになる |
บทสนทนา | bòtsǒnthánaa | 会話 | 語尾のรは-อนになる |
母音なしで子音が連続している場合にะを補うといいましたが、
ะを補う子音が前音節の末子音となっている場合、前音節の末子音の役割も果たしつつ、
ะを補って新しくできた音節の頭子音の役割も果たします。
例として2つ挙げます。
ะを補う例1)
สรรพสิ่งですが、
พはสรรพという音節の末子音かつ、ะを補ってあたらしくできる音節の頭子音です。
したがって、สรรพ-พะ-สิ่งとなり、sàp-phá-sìŋとなります。
ะを補う例2)
タイ語の声調の高声はเสียงจัตวาといいますが、
このจัตวาですが、母音なしで子音が連続するのはตวです。
よってตにะを補いますがตは前音節จัตの末子音にもなっているため、
jàt-tà-waaとなります。
ตがจัตの末子音とตะの頭子音の2つの役割を果たします。
โ-ะとะ、どっちを補えばいいのか?
ここで最初に挙げた例に戻ってみましょう。
タイ語 | 音素記号 | 意味 |
กรรมการ | kammákaan | 審判 |
ขนม | khànǒm | お菓子 |
ถนน | thànǒn | 道 |
เบณจางคประดิษฐ์ | benjaaŋkhápràdìt | 五体投地の礼拝 |
赤文字のところはすでに説明したとして、
青文字のところにはโ-ะが隠れています。
隠れているのはโ-ะですよ、こっちはะですよ、と教えてくれるヒントはありません。
わたしはこれをコンピュータープログラムのように、
このケースではโ-ะを補う、
このケースではะを補う
とすべての単語の発音を正確に音素記号で再現する論理フローを
4日ほど頭をひねって考え込みましたが
それでも結論は「そんな理論はない」というものにたどり着きました。
経験的には
- A)子音が三つ続く場合、後ろ二つの間にโ-ะを補い前二つの子音の間にะを補う、
- B)連続する子音は頭子音になるものを分けてから余分になる子音にะを補う
というパターンがほとんどです。以下、説明します。
A)子音が三つ続く場合、後ろ二つの間にโ-ะを補う例
- ถนน
子音が連続していますが、後ろの二つนนにโ-ะを補ってから
余ったถにะをあて、発音はthànǒn
(นนがなぜnǒnになるのか、これは最後の難所「声調規則」でお話しします。)
- ขนม
これも
後ろの二つนมにโ-ะを補ってから
余ったขにะを補いkhànǒm
(นมがなぜnǒmになるのか、これは最後の難所「声調規則」でお話しします。)
例えば先ほどの例2)สรรพสิ่ง について。
พสが連続する子音です。
สはสิงの頭子音になっているので、พにะを補い、
sàp-phá-sìŋとなる
A)B)連続する子音は頭子音になるものを分けてから余分になる子音にะを補う例
เบณจางคประดิษฐ์ について。
เบณは頭子音+長母音+末子音、
จางもおなじく頭子音+長母音+末子音、
ฐ์は読まないので無視
คประดิษについて、
ปรは複合子音でประの音節の頭子音になっています。
ดิษは頭子音+短母音+末子音、
คがのこりますので、ะを補って
beenjaaŋkhápràdìt
となります。
ほかには、
พระโขนง、
BTSのプラカノンです。
พรは複合子音ですからこれはこれで完結、
ขนが連続する子音で何と読んでいいかわかりませんが
โนงの部分をまず取り出し、นを頭子音とみなす、
あまったขにะを補って
phrákhànǒoŋ、です。
(โนงがなぜnǒoŋになるのか、これは最後の難所「声調規則」でお話しします。)
それでもやっぱり体で覚えるしかないタイ語・・・
大体このパターンでうまくいきますが
あくまで経験則のため当てはまらないケースもたくさんあります。
もしくは、
เบณจางคประดิษฐ์について、
音節の区切れ型が
เบณ+จา+งค+ประ+ดิษฐ์にならないのはなぜか?
been+jaa+ŋók+prà+dìt
といわれると、説明できません。
これはもう、体で覚えるしかありません。
タイ語に触れれば触れるほど、
これはどっちのパターンか?というのが感覚的にわかるようになってきます。
少しずつタイ語に触れる量を増やしていきましょう。
次の講座: Lv1基礎-28 特殊規則11 語尾のรは-อนになる へ戻る
次の講座: Lv1基礎-30 特殊規則13 特定の字種別の連続時の発音規則 へ進む
質問・コンテンツリクエストはこちら:リクエスト・質問ページ
コメントはこちら:談話室ページ
公開日:
最終更新日:2016/09/24